2012年12月16日日曜日

Y+TにO−O

 11月にオープンした横尾忠則現代美術館ですが、今日ようやくゆっくりした休日、鑑賞に出かけてきました。その作品群は、ノスタルジックで、ユーモアたっぷりで、気持ち悪いはずなのに爽やか、重いはずなのにポップ。表現性、ドラマ性、象徴性に満ちています。
 中でもo-oが好きなのが、Y字路のシリーズ。その作品の前に立つと、何だかドキドキするのです。透視図法も無視されていて、ピントもボケているようなのですが、リアルなのです。知的リアリズムと言うのでしょうか。子供の頃、Y字路に立った時の言いようのない不安感が蘇ります。視野が狭かったゆえの恐怖感でした。

 2000年でしたか、横尾さんの講演を聴いた時、彼は次のようにおっしゃいました。「美術をしている者がいうのも変だが、想像することは危険である。想像するとは先を見通すことである。『目的を持つこと』も危険である。芸術は目的を持ってはいけない。目的を持つとは、前を見通そうとする行為と重なってくる。前を見通そうとすると、今、目の前のことを大切にできなくなるからである。」まさに、子供を内在化させた大人。o-oが目指すところです。そんな思想の下に描かれている作品ですから、すなわち今の自分の「あるがまま」をさらけ出しているから、その作品の前で心が解放されるのですね。

0 件のコメント:

コメントを投稿